小説

星のしるし

柴崎友香の星のしるし。わざわざ文學界買ってしまった。 とりあえず、読んでいて2、3ページくらいで気づくのだけど、いままでの柴崎友香と違うタッチに驚かされた。いままでの彼女の作品にはもっと宙ぶらりんのぬるい温度の人間に満ち溢れていたと思うのだけ…

対岸の彼女

角田光代の対岸の彼女。こんなに青臭いのが直木賞かよと突っ込み待ちな本。 とは言え、青臭いの嫌いじゃないのでさっくり読めた。惜しむらくは、2回に分けて読んでしまったことで、読了してから思うに一気に読んでしまった方が、気持ちの盛り上がりの面でお…

窓の灯

青山七恵の窓の灯。ちょいと前の文芸賞受賞作で後で芥川賞もらってるし面白いかなと思って読んでみた。 劣化した川上弘美?エロを捨て切れなかった川上弘美?とそんな感想。いや、もちろんすばらしい小説なんでしょうけど、僕は別にというだけです。 窓の灯 …

となり町戦争

三崎亜記のとなり町戦争。硬い乾いた感じの文章で、なんか個人的に久しぶりな文体だったので目新しかった。 実体が見えてこない戦争の始まりから終わりまでを、圧倒的に外側から、注意深く間接的に描いてあって、つかみどころがない、けど確実に存在している…

また会う日まで

柴崎友香のまた会う日まで。今はもうどうにもこうにも、柴崎友香の小説は読まずにはいられない。 こう書くと語弊があるのだけど、柴崎友香の小説世界では、まず「何も起こらない」。というのは、もちろん小説なわけで主人公の周辺で起こったことについて書か…

人のセックスを笑うな

山崎ナオコーラの人のセックスを笑うな。井口奈己が監督で映画ができたのをきっかけにして読んでみた。映画は観るかどうかわかんないけど、とりあえず井口奈己にはでかくなってほしい。 最近の本の傾向だけど、この河出書房の文庫本はあんまりにも文字でかい…

グミ・チョコレート・パイン パイン編

大槻ケンヂのグミ・チョコレート・パイン完結編。んーなんかなあという感想。 この類の青春ものというか童貞ものというか、とにかくそのジャンルとして私が勝手に認知しているものとして、村上龍の69、原田宗典の十七歳だった!、そして大槻ケンヂのグミ・チ…

太陽の塔

森見登美彦の太陽の塔。しばらく小説を読んでなくて、小説を読み始めることに億劫になっていたのだが、リハビリに最適だった。つまり、読みやすく、重みはない。 誇大妄想によって成立している小説なので、こういうのがしっくりくる人って、一生もてない気が…

夜は短し歩けよ乙女

これくらい温度がぬるい方が当たり障りなく、後腐れなく読めていいのかも知れない。ぶっちぎりの問題作とか気違いじみた文章を読み続けたら疲れるもんね。 なんにせよ学内文芸誌でも学内ローカル紙上でもないのに、こういうのが可能というのはある意味この大…

69

3連休だか海の日だか知らないが、雨で腐っている時は腐った小説でも、と思い、校長の机のシーンが読みたくてわざわざブックオフで買ってきた。思ったよりこのシーンが早い段階で出てきたのにびっくりしたけど、総じて村上龍らしくなく記憶どおりのバカバカし…

風の又三郎

蟲師読んでたらなんとなく気になって読んでみたけど、なんか、あまりよくわからなかった。自分として、宮沢賢治を神格化し過ぎな感が否めない。 風の又三郎 (岩波少年文庫(011))作者: 宮沢賢治出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/11/17メディア: 単行本 …

今夜、すべてのバーで

日曜日の昼間っからつまらなくて酒浸ると死にたくなるわけだけど、ついでにもっとダメな人の話でも読んどくかと思い、読み返し。やっぱり面白いなあと思う。 アル中の主人公が入院して退院するまでの治療描写と人間描写で、アル中について下調べをかなりして…

青空感傷ツアー

まあ、俺は柴崎友香の小説が好きなので、何を言おうと結局いいという結論になってしまって意味がない気がするが、自分のために感想を書いておく。 いつもの彼女の小説のように、色気のない恋でふところにいくつか傷を持つ芽衣と音生の2人がトルコ→吉野川→石…

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?

最近小説を読む気になれなくて、ちんたらちんたらしながらやっと読了。彼女の小説は疲れた脳みそにやさしい。特に「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」の方は、面白いと思いながら読み進めるのでなくて、なんかずるずると物語に引きずられていく感じなのだ…

その街の今は

やはり柴崎友香の小説は彼女にしか書けないなという当たり前のことを、考えたりしながら読み進めていった。この小説は柴崎友香が書いた小説に他ならず、独特の面白さと世界を持っている。 しかしながら、今までに読んできた彼女の作品に比べて何かが足りない…

アフターダーク

映画を意識したのだろうか、というような、他の村上春樹作品に比べて視覚的な小説。ただそれが機能しているかというと、機能していないだろう。彼の作品の中では駄作の部類ではないだろうか? まず、最初の描写からして、あんまり読者の気を引かない。これが…

斜陽

嫌いじゃない。なんか読んでて腹立たしいんだけど最後まで読ませてしまう魅力を持っている。この小説はかず子を語り手かつ主人公的に書かれているから、男にはかず子がどれだけ女を象徴できているのかがわからず、むむむという感想。文章の感じは心地よい。 …

女たちのジハード

これまた直木賞受賞作だしと手にして、3年くらい放置していたのを読んでみた。 女性作家が女性たちの物語を書こうとするとき、そしてその物語を読者が手にするとき、旧来のフェミニズムを多少なりとも思い出してしまうのではなかろうか?特に働く女性が描か…

リビング

重松清らしい、家族を描いた短編集。 まあ重松清という3文字がこの本を最も的確に表現している。特に書くことはないね。 リビング (中公文庫)作者: 重松清出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2003/10メディア: 文庫 クリック: 16回この商品を含むブログ (…

ターン

3年くらい前に友達に勧められておいて、読まずに放置してきた本。 確かにおもしろいと言えばおもしろいんだけども、ある特殊な世界を提示するための前半部、設定が退屈で読むのがめんどくさいと何度も思ってしまった。これは小説としてやはり致命的なことだ…

ぐるぐるまわるすべり台

夏休み(d:id:creep_in_jp:20060704)と同様にすかした感じの文体。 僕は大体野間文芸新人賞を受けた作品が好きな傾向にあるんだけど、これはあんまり。 なんでだろうなあ。 ぐるぐるまわるすべり台作者: 中村航出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/06/09メ…

フルタイムライフ

芸術系の大学を卒業した後、なんとはなしに食品包装機器メーカーに就職した女の子の日常を綴った本だが、読んでみて、やはり僕は柴崎友香の書く文章が好きだなと改めて思った。 それは前にも書いたとおり、退屈でのっぺりした日常を主人公が生き抜いているか…

イッツ・オンリー・トーク

なんとも言い難い小説だった。 表題作も後ろに収められている第七障害についても、さくさくとものすごい勢いで読みきることができたのだから、多少面白かったのであろう。ただ、それは逆にそれだけでしかなかったとも言える。橘優子と早坂順子という小説中の…

夏休み

よくできているんだと思う。それがゆえに途中から退屈になって、読み急いでしまった。 何が面白くないかというと、さらっと差し挟まれるエピソードが、伏線が伏線じゃないふりをして配置されているっていうのがわかってしまって、大体先の展開が読めてしまう…

いつか、僕らの途中で

この本は、前に言ったこととは違って、やたらとカッチリした言葉が鼻につく、現実と乖離した語り口だった。やわらかいタッチの鉛筆画と、小話・書簡体による絵本の体裁ではあり、合作だけれども、柴崎友香らしさを感じる。 山梨で教師をしている大卒1年目と…

博士の愛した数式

久しぶりに一気に読める本だった。メルヘン世界を形作るに十分な数学への愛。読者の気を引くいびつな登場人物たち。そして、ちょっと変わった環境。抑制の効いた文体。合わせ技でいわゆる「いい」話ができあがっていて、伏線も張られているし、ものすごくオー…

GO

金城一紀のGOを読んだ。読ませる文章だと思った。 在日のネタを中心に据えながら、杉原の言葉、行動に作者の美意識が反映されている。趣味のいい作品だと思った。 GO (講談社文庫)作者: 金城一紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2003/03メディア: 文庫 クリ…

日蝕

平野啓一郎の日蝕を読んだ。 文語体で最初はひどく読みにくかったが、設定や物語の内容がうまいと思った。彼は両性具有者をなんとイメージしたのだろう?住民、ジャックらが自らの手で処罰した両性具有者、また捕らえられたピエエル、ここに何が暗示されてい…

家族解散

糸井重里の家族解散を読んだ。 僕としてはベタベタな展開だと思ったが、高橋源一郎によると、これはアメリカ文学のパターンそのものらしい。ちゃぶ台というメタファの選び方が秀逸らしい。文学というのは、紙面で登場人物を使って、自分の考えを深めていくも…