花火

 琵琶湖の花火を見に行った。
 ただただきれいだった。「今の俺の文章力ではそうとしか表現できない」という美しさだった。
久しぶりに放心状態になった。周りを見てみると、同じ気持ちのようだった。
 なんで、あんなにも花火がきれいなのか考えてみた。ベタな考えなのかもしれないけど、いちばん底のところにあるのは「はかなさ」だと思う。花火を咲かす草の茎が闇の中をするするとうねりながら登っていき、ひとときの間をあけて、花開く。そして、その光を発散して、少しずつ少しずつ闇と同化していく。花が、散る。花火が消えた後の"あの"余韻。この余韻が花火の"美"だと思う。これを書いている今も、余韻を思い出せる。
 この種の美しさをいちばん生かしているのが、"柳"の花火だと思う。開いた花がしなだれながら薄れていく、あの花火だ。拙い語彙力からはいい言葉が見つからない、そんな美しさだった。