セヴンティーン

 大江健三郎の「セヴンティーン」を読んだ。大江の小説は中学生のときに読書感想文の素材として読んで以来だった。
 その時の印象としてはただ一つ、「おもしろくない」ということだけだった。やはりノーベル賞をとるような作家の小説はこむずかしいんだなと思った記憶がある。(まあ、当時読んでいたのが星新一のショートショートばっかりだったからかもしれないが…)
 今回「セヴンティーン」を読んでみて、大江健三郎に対する印象がまるっきり変わった。この小説にはあり余り、あふれている青春(あまりこの言葉は使いたくない。青春とは青春を通り過ぎたものが使う言葉だ。という誰かの言葉が頭に残っているから)のエネルギーが描かれていて、中上健次を思い出すほどだった。過剰なのだ。
 17歳の少年のどこにも持って行きようのない、かたまりみたいな力、がどろどろに描かれている。

性的人間 (新潮文庫)

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