京都学生自主制作映画祭part3

 懲りもせず今日も行ってきた。子どもたちがパラパラ漫画の方法でつくったアニメーションをいくつかとスイス人Roger Walchの映像作品を見てきた。
 まず子どもたちのアニメの方だが、退屈で途中で寝てしまった。と、観客(数は少ない)の笑い声で目を覚ました。スクリーンを見てみると1コマ1コマ手書きで子どもが描いたアニメーションが映されていた。おもしろかった。思わず含み笑いを漏らしてしまった。子どもならではの支離滅裂なストーリーに、効果音として入っているアニメをつくった子の断然やる気のない声がなんとも言えずマッチしていて、つい吹いてしまうのだ。やっぱ小学生の考えていることって意味わかんなさがおもしろい。おもしろさってこういう風に、作り手側が自分のやりたいようにやった時になんかの化学反応で生まれてしまうんだろうなと思った。
 そしてRoger Walchの誘惑1、誘惑2は外国出身の監督から見える幻想世界っていうのがよく描かれていた。1の方は幽霊すなわち非日常との接触、2のほうは春画から広がる和風エロスの世界がサイレント映像で表現されていた。その後のティーチインで監督自身が語っていた通り、1の最後の首吊りのシーンは日本人に取っては余計だが、スイス人であるRoger Walch自身には必要なシーンだったのだろう。日常の退屈さをモノクロで、その後の幻想世界の魅力をカラーで表現していることに気づかなかったのは迂闊だった。
 2のエロスのイメージを果実のイメージとダブらせて撮っているところや絶妙なチラリズムで攻めてくるあたりはうまいな、と思った。妄想であるという雰囲気をうまく残してつくっているし、なんといっても色がきれいだった。徹底的に色にこだわってつくりこんだのがよくわかる色遣いでテーマのエロスにもよくそぐっていた。
 それに比べると1の方の色遣いがイマイチかなと思った。1を見た直後はまあ絵的にこだわりはあるのかな程度の感想だったが、2を見てしまうと、そうしても1の色彩感覚の乏しさが強く感じられる。してみると、ストーリーも単調だった気が…と悪循環してしまった。1、2が逆だったら、1の方はとても見れたもんじゃなかったかもしれない。