京都学生自主制作映画祭in ART COMPLEX 1928

 国際学生映画祭提供の作品4つと自主制作映画祭のコンペで残っている作品4つを見てきた。
 まずは国際学生映画祭のほう。
 映画美学校の青山あゆみ監督の「春雨ワンダフル」は淡々とした雰囲気が独自の世界を持っていた。要所要所で出てくる外人がいいキャラしてて、あんまりきつくない下ネタでよかった。個人的にああいう脇役が好き。こういうキャラのおかげで見る側は息抜きをすることができるし。
 大阪芸大の岡太地監督の「トロイの欲情」はメリハリのあるところはよかった。主人公の少年の部屋を青で描き少年のイメージを形作ったり、ペットショップの店長や母親ののほほんとしたキャラとかがいいスパイスになっていると思った。ただ、もちろん狙ってやっているのは分かっているんだけれど、やたらとアップを使っている(何よりアップに堪える顔と堪えない顔があると思う)のは、特に、見たくもないディープキスのどアップは本当にやめておくれ、と思った。
 他の2つは前も見た海外の作品だった。
 そしてコンペで残ってきた作品のほう。
 京大シネ研の上坂大介監督の「僕はただボブ・マーリーと遊びたかっただけなのに」前も見た作品なので、ネタが分かってしまっていて、おもしろさ半減だった。この映画は2度見ちゃいけない映画だと分かった。
 同志社の吉田みゆき監督の「追憶の映画館」はあの短い作品の中に起承転結を作りよくまとまった映画だったと思う。最後にあの手の音楽をしかも大音量でかけるのは、あんまりにもベタすぎると思った。
 京産映画研究部の戸部直人監督の「サボテンボーイ」も起承転結がしっかりとしていた。加えて、ネタ映画であるのに「僕はただ…」と違って、脚本がしっかりしている計算された笑いだった。すんごく軽くなってる下ネタも、自主制作ならではのチープな特殊効果とアニメーションもみんなこの映画の雰囲気作りによく作用していた。普通におもしろかった。
 京大雪だるまプロの葉山康一郎監督の「北村部長」も脚本がしっかりしていてよかった。やっぱり脚本がしっかりしている作品って言うのはおもしろいおもしろくない関係なく見れる映画になる。まあ、この作品がおもしろくなかったってわけではないんだけど。脚本がしっかりしていたといったものの、もうホントに下らないストーリーで、最高に笑えた。主人公北村部長のキャラがよくできていて、オタク臭というか、イカ京臭というか、とにかく北村部長役の役者の演技がよかった。配役の大切さがよく分かるくらいだった。小ネタも満載だし、マトリックスのパロディーも絶妙だったし本当に徹頭徹尾笑かすことだけを意図した作品で潔くて好きだった。
 こう見てきて、振り返ってみると、自主制作映画ではどうしても作品のクオリティーを一定以上にあげるのがすごく難しいので、ネタ映画の方が有利みたいだ。恋愛ものとか、映像作品ものでは、どうしても映像効果や役者の稚拙さが目立ってしまって、がんばっているのは通じるんだけど、結局それだけの映画になってしまうみたい。
 こんなことを友達に言ってみたら、「わたくん、自主制作映画はいいところを見る、みたいに見てあげないとダメだよ。じゃなきゃ脚本ものの映画見れないじゃん。誰かと一緒に行ってここの場面がどうのこうのって言わないとおもしろくなくない?」って言われた。これからそういう見方をできるようにしたい。でも一緒に自主制作映画を見れるような友達はできそうにありません。