少年と少女のポルカ

 藤野千夜の少年と少女のポルカを読んだ。社会と馴れ合うことのできない3人を描いた表題作とこれまたいわゆる常識から一歩引いているような女の子を主人公に据えた「午後の時間割」とが収められている。
 表題作の方は3人とも、世の中でマイノリティーにカテゴライズされるようなものを持ち、違和感を感じながら生きている。ラストでは3人の問題のいずれも解決されない。ただ、今でと同じ戦い、違和感に満ちた生活が続いていくことを示唆するだけだ。
 午後の時間割では、全くと言っていいほど勉強をする気の無い予備校生の女の子が自分は64歳という決めごとをする。ラストで恋(?)の相手がゲイだという衝撃的な事実が明かされるエピソードでもよく表されるように、彼女の「ものの見方」はズレているの一言でかたづけるのはもったいないようなすごく魅力的なものだ。
 簡単に書くと、この文章(もちろん俺の文章ね)は下手すぎるから、斎藤美奈子の解説を読んだ方が早い。斎藤美奈子がこういうおもしろい小説批評を書くことがわかったのもこの本を読んだ収穫の一つだ。この本は解説まで含めて一冊だと思う。それくらいの価値のある解説だと思った。
 とにかく最近は何読んでも良い本だなと思ってしまう。これで良いのかな?
 あと、固有名詞の多用は高橋源一郎の影響??

少年と少女のポルカ (講談社文庫)

少年と少女のポルカ (講談社文庫)