言わずと知れた夏目漱石の坊っちゃんを読んだ。予想に反してかなり面白かった。
旧制中学を舞台としているが、それは人間社会全体の縮図としてであり、そのなかで坊っちゃんが(坊っちゃんの信ずるところの)強烈なモラリストとして、(坊っちゃんの信ずるところの)悪である赤シャツと野だをこらしめるという、コミカルな社会批判的な一面を持っていると思う。
リアリティがないだの、寓話に過ぎないだの言うものの、やっぱり心のどこかで世界が勧善懲悪であって欲しいという、本能的な感情を満たしてくれる。
江藤淳の解説を読めば、もう一段深く読むことができ、さらに坊っちゃんを楽しむことができる。なるほど、100年も生き残る理由のわかる小説だった。
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/04
- メディア: 文庫
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