読者は踊る

 斎藤美奈子読者は踊るを読んだ。文学賞から、聖書、ガイドブック、辞書まで、ものすごく幅広い文芸時評(?)をまとめた本で、批評家らしく、幾分ひねくれてる感の否めない文章で切れ味鋭く批判的に書いている。身近な本をネタにしているだけあって、すごい身近感がある。冒頭で著者が定義する「踊る読者」にばっちり当てはまる僕は、結構面白く読んだ。
 軽いタッチで書こうとしているものの、ちらりちらりと批評家としてのプライドが垣間見える本気文章になっているので、400ページのこの文庫はお腹いっぱいどころか胃もたれするくらいである。文中、「コロッケだかトンカツだかいうお笑い芸人…」なんていう恥ずかしい言葉も載っていて、ちょっとセンスを疑うが、まあよしとして読めば、楽しむことはできるでしょう。

読者は踊る (文春文庫)

読者は踊る (文春文庫)