生きない

 ダンカン脚本の生きないを見た。大学生の小泉がおじからチケットをもらってやってきた沖縄ツアーは、実は自殺志願者たちの自殺ツアーだった…というお話。
 この映画のキモは役者たちだと思う。温水洋一はその存在だけで顔だけで価値がある。ひさしぶりにグレート義太夫が見れてうれしかった。とかどうでもいい感想ばかりになるけど。とにかく、小泉役の大河内奈々子以外はみんな、映画の前半で顔に生気が無い。見事な演技だと思う。ただあまりに見事で笑ってしまったが。そして、みんな翳を持っているところがすごいと思った。死刑執行人、死神として存在しているダンカンは黒服を着込み、全編において(ラストの一瞬以外)表情が無く、物語の雰囲気づくりに大きく貢献している。
 そして独特の間や静寂が印象に残った。何らかの動作や音楽やなんやよりも、その間の間、静寂をずっとずっと大事にしている映画だ。もちろんオフィス北野がつくった映画ですから小ネタは散りばめられている。グレート義太夫や温水洋一の存在自体が(笑)だし、一発芸コーナー、特にゾウさんネタは予想通りなのに笑ってしまった。
 ストーリーにしても、流れとして生きることの尊厳を肯定する方向へずんずん進んでいったから、ああ安易にいくかなと思っていたので、最後にその安易さを拒否する落とし所を持ってきたので、個人的には満足です。
 ただ、失恋した青年の存在意義がわからなかった。いきなりバスの中に警官が入ってしまうのはなんで?

生きない [DVD]

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