月とキャベツ

 篠原哲雄監督の月とキャベツを5年ぶりくらいで見た。
 行き詰ってしまったミュージシャン花火がヒバナとの生活で再生していく物語で、ヒバナが抱えている秘密によってセンチメンタルで物悲しい作品になっている。
 エンドロールによると群馬で撮影した見たいだが、キャベツ畑や森や見晴らしのいい丘の緑のグラデーション、花火が住んでいる廃校や大きな月の鄙びた雰囲気、それらによってこの作品の映像の色や質感ができている。どれも美しい。時折出てくる都会の様子とのギャップがあり、異世界という感じがした。
 山崎まさよしは演技をしていると言うより素のままでいて(もちろんあれを意図してやっていたんならいい役者ってことになるけど)、それがかえってこの映画の素朴な雰囲気に寄与していると思った。
 花火にとってのヒバナのように、絶対的な味方がいれば人間っていうのは再生していくものなんだろうか(理人も絶対的な味方かな)。なんか人恋しくなる映画だった。
 そして何より、One more time, One more chanceがいい。ぴたりとはまっているから、山崎まさよしファンならピアノの弾き語りを見るだけでもこの映画を見る価値あると思う。
 なんで花火はヒバナがいつも同じワンピース着ているのを疑問に思わないんだろう、とか、風呂どうしてんだろう、とか野暮な疑問を持つやつは俺が許さないよ。

月とキャベツ [DVD]

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