8 1/2

 フェデリコ・フェリーニ監督の8 1/2を見た。入れ子などなどかなり入り組んだ構造になってて、見てて混乱するし、見る人ごとに、見るたびにいろんな見方ができるであろう映画だった。
 マルチェロ・マストロヤンニ演じる映画監督グイドの妄想と映画制作とを撮った作品であり、フェリーニ自身の自叙伝的な作品であるらしい。そして作品中でもグイドは自叙伝的な作品を撮る。この入れ子構造に加え、過去と現在が、そして夢と現実とが断りもなく切り替えられる。このために不思議な感覚にはなるのだが、叫びだしたくなるようなイライラ感も募った。僕の頭では存分に混乱してしまった。白黒なのだが、僕が見慣れていないので、被写体の輪郭がうまくつかめなかったのもその一因ではあるのだけど…。
 この作品は大きく前・中・後の3つに分けられると思う。その中盤が個人的には一番気に入った。グイドの妄想なのか、グイドの作品の一部であるのか曖昧なシーンなのだが(作品の一部なのかな?)、享楽的なハーレムのシーンはいかにもマッチョで思わず笑ってしまう。音楽も照明も、そして女優陣も総出で、西部劇をパロったり(内容もサイレント映画時代のアメリカ喜劇チック)してつくりあげてかなりファニーなものになっている。そしてグイドが、妻から浮気相手に昨夜会ったと言われた時のグイドの顔ったら無かった。すごく古典的なベタベタな予定調和的な演技なんだけど、爆笑もんだった。やっぱマストロヤンニいいよ。サテリコンは最後まで見れなかったけど、この作品は面白かったし。甘い生活と共通するものもたくさんあると思う。
 なんだかんだ言って主人公グイドがかっこいいのはフェリーニの自己肯定のためですか???