セルゲイ・エイゼンシュタイン監督の戦艦ポチョムキンを見た。1925年の作品であり、当然白黒サイレントなのだが、今や、そのことが逆に珍しさから良さになっている。中盤中だるみなのか、僕がクラシック聞くとどうしても眠くなる癖が出たからなのか、うつらうつらしてしまったが、あの有名な乳母車のシーンくらいからは怒濤の演出で一気に見れてしまった。ある事象とそれに対する人間の表情を細かいカットで重ねるという技法(モンタージュというらしい)がものすごく効果的で、緊張感が一気に高まった。音楽もそれにあわせて急いたものになっている。緊張の中、戦艦ポチョムキンに接近してきた戦艦は敵か味方か、というラストシーンで、味方をあらわす旗が揚げられるのだが、そこだけ赤をベタ塗りしててちょっと滑稽だった。
この監督がもっと遅く生まれていたらどんな作品を撮っただろうかと思わせるような出来だった。淀川長治がこの映画を絶賛していたので、彼のいうベスト映画であるチャップリンの黄金狂時代を見てみたいと思った。
- 出版社/メーカー: アイ・ヴィ・シー
- 発売日: 1993/09/21
- メディア: VHS
- この商品を含むブログ (1件) を見る