ロシアン・エレジー

 アレクサンドル・ソクーロフ監督のロシアン・エレジーを見てきた。ソクーロフらしい長回しを多用した、ドキュメンタリーといわれてもドキュメンタリーなのかどうかわからない映画だった。
 暗闇の中、一人の男が息絶え、2時間はそっとしておきなさいという言葉が発されるところから映画は始まる。次々と画面に映し出される写真。一部のズームから離れてみたり、全体から一部のクローズアップになっていったりしながら次々に写真は変わる。また、大砲を撃ったり川を渡ったりといった戦争の映像が傷ついたフィルムのような映像で映し出される。どちらも嫌になるほどゆっくり、坦々と、である。これらが、死後2時間に見る記憶なのだろうか。いわゆる映画のように意味の濃いカットが次々と変わっていくのではなく、あくまで現実のように、退屈な色も淡い映像が、そっと置かれるように続けられる。
 つまり眠い。ひたすら眠かった、っていうかちょっと寝てしまった。僕はソクーロフの映画が苦手みたいだ。
 ラストに近いところで、樹海から手前の赤ちゃんにゆっくりとピントを移し、そしてまた奥の樹海にゆっくりとピントを戻すというシーンがいやに印象に残っている。何か、僕にとって意味深い気がした。美しかっただけかな??