血と骨

 崔洋一監督の血と骨を見てきた。うーん、ある意味すごい映画だった。
 これは済州島から一人大阪に渡ってきて、暴君っぷりを発揮した一人の男の生涯を息子の視点から描いたドラマだ。つまりセックスとバイオレンスをこれでもかと画面いっぱいに映し出しているんだけど、一昔前の映画やVシネのように、そこに男の美学と言うものはない。完全に醜いものとして描かれている。だから、何と言うか哀しさが漂っている。金俊平の傍若無人っぷりをどれだけ見せても、脳腫瘍になった女を最後まで世話したりして、彼の人格が一面的になるのを拒否したり、人物の内面描写は成功していると思う。ただ、柏原くんとかみたいな、どう見ても大陸系の顔じゃない人を朝鮮人役に据えるのは・・・。唯野未歩子があまりにはまり役でびっくりだったけど。
 ビートたけしさんの演技はどこかしら戦メリを彷彿とさせる演技で懐かしかった。
 あんなとこやこんなとこに何回か黒いぼかしが入っていて、どうせ隠すならうまく隠せよ!と、編集で隠すんじゃなくて、Vシネみたいにうまく隠せよ!と言いたくなった。加えて全編に渡って血の匂いは漂っているのだが、後半泥臭さが感じられなかった。オダギリちゃんと殴りあうとことかはものすごく泥臭いんだけど(本気で滑ってこけてるし)。。。あとなんだかんだ言って女が勝つとことか・・・崔洋一って恐妻家なのか??政治的にはものすごくバランスをとってニュートラルをアピりまくりだった。まあ、そこら辺のイデオロギーがテーマじゃないから目立たせないのは正解だけど。
 まあ、トミーズ雅が一番面白かったね。雅には勝てないっす。

血と骨 通常版 [DVD]

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