乱れる

 オープン記念で安かったこともあって、成瀬巳喜男監督の乱れるを見てきた。最後に乱れた。
 新旧の価値観のはざまで(と言っても大昔の新旧だが)揺れる未亡人とその家の次男坊とを中心に進む物語で、今見ると昔の価値観がなかなかに新鮮で魅力的だった。抑制の利いたセリフが特に印象に残って、何でも言えばいいってモンじゃないし、何でもすりゃいいってモンでもない。沈黙や空気でもって伝わることがたくさんあるんだっていうのを再確認できた。嫁の立場とか女性の価値観とか、今ではもうまったく絶滅危惧種なものがはっきりと基準とか常識として物語が進み、こんなことは一部の世界、業界でしか残ってないだろうなという、そんなものが逆に新鮮だ。美学というものかな?
 出演陣みんな若いし、永遠の若大将が若いときどうだったのかが見れる。なんか、若い頃の文ちゃんに似ている気がした。

乱れる [DVD]

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