主人公は君だ!

 総務省が若者の選挙離れを危惧して、5人の映画監督に撮らせた映画のうちの河瀬直美が撮った、主人公は君だ!というのを観た。この映画は小学校の生徒会長選挙というのを舞台として、小学生、親、教師が撮られている、ドキュメンタリーなのだけど(実際はフィクションなのかも知れないが、そんなことはどうでもいい)、この、小学校という小さなコミュニティが、この映画において捉えられたある側面において、世の中の縮図として見事に機能しており、また小学生の、大人と違うむき出しの感情や態度を見せる人間の、拙い言葉を補って余りある、言葉にしがたい映画的な何かを掴み取っている気がした。また、子どもが関わっていることで表れている、大人の内側の人間的な生々しさが見えた気がした。というように、総務省が目論んだと思われる、選挙、というものと少々かけ離れたところにこの映画の魅力は存在しているのは間違いなくて、久々に30分あまり引き込まれてしまった。