アルカロイド・ラヴァーズ

 楽園での物語と現実世界での物語を交差させながら、物語はある到達点を目指して前に進もうとする。生が繰り返され、終わりのない永遠の反復の中で、延々恋愛に励み続ける9人。しかし、その永遠ということの、それゆえの虚しさにサキコは気づいてしまい、裏切りを犯す。現実世界に堕ち、自らに刑を科しながらも、永遠でないゆえ存在する楽園に一瞬触れる。そんな話だと僕は読んだ。
 こう書いてみて初めて、そのテーマの面白さを感じる、というくらいに、読んでいる時に面白さといった感情は覚えなかった。生々しく痛々しい描写、恍惚の快楽、そのようなものは物語のなかに描かれ、存在しているところまでははっきりと分かるのだが、読んでいて何か心を動かされるような何かに欠けている。そう感じた。僕の守備範囲外に存在する小説なのかもしれない。

アルカロイド・ラヴァーズ

アルカロイド・ラヴァーズ