こうのとり、たちずさんで

 アンゲロプロスの映画は不思議だ。彼の映画はカメラの動きも、カットワークも、音楽も、登場人物の動きも、セリフも、かったるい。にもかかわらず、最後まで観てしまう。観せられてしまう。
 全てが大きい。そして深い。
 セリフは詩であり、スクリーンはキャンバスである。
 提示された全てがうそであり、全てがほんとうである。
 そして、何にも増して、わからない。