永観堂

 5年目にしてはじめて訪れた。
 今まで気にしていなかったから、他の寺もそうなのかもしれないが、寺の建築は、少なくとも永観堂はバランスが悪い。あらゆるパーツが縦(鉛直方向)に短く、横(水平方向)に長い。ふすまなどの高さは日本人サイズなのに、その幅は普通よりも明らかに広い。そして、天井がやたら高い。梁などのパーツも大きい。
 この建築の中にいて、内側を眺めていて感じたのは自分が卑小な存在であるということ。
 心理学的なことはよくわからないが、人間は細長いものよりも、多少短くても幅広いものを大きく感じるみたいで、天井の高さと合わせ技一本で、部屋をかなり大きく感じた。子供の頃に家で留守番しているときに部屋を大きく感じて、そして、何を対象にしているのかわからない恐怖を感じたことがあるがそれを思い出した。
 宗教的な畏怖の心を煽るつくりなのであろうか?