戦争を対岸の火事としか体感したことのない人間が観ると、やはり戦争映画というのは惹き込まれる魅力を持っている。非日常(これが日常な世界も存在している今、この言葉を吐けるということが平和ボケの証明でもあるわけだが)のベトナム戦争という場に志願新兵として送り込まれた上流階級のクリスの五感を通して、観客は戦争を体験するわけだけど、最初普通のおばっちゃまで甘ったるいクリスが(チャーリー・シーンがはまり役)、徐々に兵士に成長していくその流れに乗って、スムーズに物語についていける。
この映画において大切なことは、ベトナムが勝ってアメリカが負けたとか、アメリカに正義はなかったとかではなくて、「歴史」という観点では語ることができないこと、つまり、戦争というものはそれ自体で成立しているわけではなくて、人間一人一人が成り立たせていて、そして彼らにも人格は存在しているということ。戦争はゲームではないということ。そして人間が自我を捨てなければいけないような、そんな戦争が今も存在しているということ。
そしてジョニー・デップが若すぎて気づかなかったこと。
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