10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス

 関テレで夜中にやってた。こういうすごいものをひょっこりと深夜放送で流してしまうのが、大阪の準キー局の偉大さだと思う。残念ながら、カウリスマキの前半を見逃してしまったのだが、チャンネルを回していて、一瞬で「カウリスマキ」だとわかる画を撮っている(マッチ工場の少女の主人公―カティ・オウティネン―が出てたからだが)というそれだけの事実で、映画ミーハーとしてはちょっと心が動く。
 で、中身だけど、この10ミニッツ・オールダーは、

10ミニッツ・オールダー (Ten Minutes Older) は、2002年に制作された映画プロジェクト。「人生のメビウス」 (The Trumpet) と「イデアの森」 (The Cello) の2巻になっている。15人の監督達による、"時"に関連した10分間の作品を集めたオムニバス映画。ref. wikipedia

こんなんで、今回放映していたのは人生のメビウスの方で、カウリスマキビクトル・エリセヴェルナー・ヘルツォークジム・ジャームッシュヴェンダーススパイク・リーチェン・カイコーの7人の短編が観られたわけだけど、当たり前のことだけど、まったく10分の使い方が異なっていて、本当に作家性豊かな作品が観られて、しょっぱなのカウリスマキからして上記の通り、ちょっと久しぶりなくらい興奮してしまった。ひねくれモノにすら、映画って本当にいいものですねと水野晴郎の気持ちをわからせるほどの力を持っていて、リアルとかじゃなくて、これは映画なんだと論理でなく、ただ直接的に訴えてきた。
 7つの中で最も印象深かったのはビクトル・エリセの作品で、美しいモノクロームと抑制が著しく利いた慎ましやかな音楽とが、僕の部屋中に緊張を漲らせて、夜中の腑抜けた脳みそにはちょっと刺激が強い、というほどの圧倒的としか言いようのない緊張感には本当に息を飲んだ。映画ミーハーとしては恥ずかしながら、初ビクトル・エリセだったが、大学の図書館にDVDがすべてあったはずなので、とにかく観てみようと思った。

10ミニッツ・オールダー コレクターズ・スペシャル [DVD]

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