新SOS大東京探検隊

 短い作品であることもあって、最初期の退屈を忘れて、楽しみながら観ることができたけども、つっこむところはいくらでもあって、よくできたものとは言いがたい。
 まず、アニメの進化の方向として、より動きがリアルに、より3Dで奥行きのあるスクリーンにしていくことにどれほどの意味があるのかということに、僕は疑問を持っている。誤解を恐れずに言えばアニメは所詮アニメであり、僕らの側の現実世界とは確実で圧倒的な境界によって分けられている。それは映画というものが、所詮二次元平面に投射した光と音のミックスであるのと同じで、宿命である。人間というやつは小説のように言語という約束を上手に用いることで、二次元上の線の集合(=文字)ごときからでも世界を立ち上げ、想像力によって補完し、その世界を経験することができる。アニメという、明らかに現実世界と異なることがわかっているものを、努力して容姿を現実世界の側に近づけることは、技術的には興味があっても媒体としてよりよいものになるとは思えない。
 ただこれは僕がスーパーファミコン世代だからなのかもしれない。僕が子供の頃に楽しんだゲームハードはファミコンやらスーファミやら、セガサターンやらNEOGEOやらドット絵を宿命付けられたものであり、想像力で「画」を補わざるを得なかったものだった。でも今はPS3やらXbox360やら(Wiiはコンセプトが違う気がする)であって、豊富なプロセッサの能力を利用して、グラッフィックを実にリアルな方へ近づけていっている。その経験を持たない僕とは考え方が決定的に違えている人がいるだろうことは容易に想像できる。
 内容については安易過ぎて画面にツッコミ入れまくってしまった。その程度。東京の地理を探るのがトレンドなのかなと思いながら観たけど。
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