日本語の外へ

 片岡義男という小説家が日本語とは、日本とはなにか、英語とは、アメリカとはなにかを考えようとした文章である(あとがきより)らしい。彼の小説はぬるい恋愛小説というイメージがあって読んだことがないのだが、この本は何かで取り上げられていて、ずっと気になっていたが図書館にあったので、借りてみた。その1章目を読了した。なんせ600ページあるし、内容も内容なので読むのに要求されるものがあって疲れる。
 1章目は湾岸戦争をメディアから得られる情報から俯瞰するのだが、アメリカという国の論理というか駆動力が捉えられてて、読者に提示され、1997年の本だけれど、アフガニスタン、イラクと歩を進めてきたアメリカという国が少しわかった気がする。そして、そのうちの一つの文章において、石油と現在の経済メカニズムについて触れられていて、ごく当たり前で、基本的な事実なのだが、アメリカと同盟国である日本、その国民である私の生活の基盤というもの(アメリカ人におけるway of life)を改めて思い起こさせられて、陰鬱な気持ちにならずにいられなかった。いまだに「イラク」という現実がそこにあり、この本はまだ古びていない。私はもっと自分の置かれている状況を成り立たせているしくみに自覚的になるべきだし、もっと罪の意識を持たねばならない。

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