せかいのおわり

 好きか嫌いかと聞かれれば、好きな部類。登場人物たちのいい加減さが自分に近いというか、手頃というか、感情移入しやすいというか。仕事についても男女関係についてもフラフラしてみたり、かなり突飛なキャラなのだけど、観ていてそれほど距離感がなくて身近に思えた。なんか許せてしまうというのが適当な表現かもしれない。
 でも、生活のにおいがぜんぜんしない。もちろんこういう類の映画に生活のにおいなんていらんという説もあるけれども、僕個人の今の興味として、宙ぶらりんな人間が巨大でシステマティックな社会ってやつとどう折り合いをつけるのか、どうやって生きていくのかというのが描かれている作品を観たい読みたいというのがある。そういう意味で柴崎友香の小説なんかがお気に入りなんだけど、この作品では結局のところ登場人物たちの大半はネバーランドから抜け出せずにいて、うらやましいけどもナイなあという生活をしているのが残念。
 風間詩織の大昔に撮った映画や風間詩織という人となりと比較すると、ほお、こうなるのかという感じ。いい意味で。

せかいのおわり [DVD]

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