裸足のピクニック

 矢口史靖って最初こんな映画撮ってたんだっていうくらいのすごい映画だった。ウォーターボーイズスウィングガールズ?あんなぬるったいもの観る暇あったらこれを3回観なさいというくらいの温度の違いで、矢口史靖という監督を「ぬるい青春ものが好きな職業監督」と定義していた自分を恥じるほど熱々の作品だった。
 まず、観始めてすぐに、うんざりするほどのアフレコの合わなさと、女の子たちの微妙さ具合に「あれ?」とかこれは退屈な90分の始まりかと思ったのだが、甘かった。冒頭の導入部が観客をだますために甘口ぬるま湯になっているだけで、その後1時間以上作り手の暴走に付き合わされる。というか、知らないうちに引っ張り込まれる。全部ありえないし、私は1時間くらいずっと「なんなんだよ!」と連呼していたくらいの気違いじみた作り話なんだけど、もう本当にこのマンガ的ストーリーの狂いっぷりにどんどん引きずり込まれた。ラストも「なんなんだよ!」って感じだし、制作費ないからアフレコ適当だし、役者変だし(Mr.オクレが親父ってどういうことだ)、道具が安っぽいし、説明が明らかに足りないし、論理は飛躍するし、部分で語ろうとすると悪いことしか言えないんだけど、映画という形ではすごいことになっちゃっている。
 本当にこの映画なんなんだろう。勢いが違う。

裸足のピクニック [DVD]

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