櫻の園

 最近こんなに素直な映画観てないなというくらいのどストレートな作品なんだけど、なんとも言えない絶妙な映画で、これはいつか観返すだろうなという映画だった。
 青春ものを観たり読んだりするときに思うのは、ずるいということ、つまり映画や小説に触れるような人は皆ある程度歳を重ねているわけで、自分の青春時代というのがあって、皆それに大してある種の思いを抱いているから、その映画や小説に対しても自分のポジションから観ることができるし、自分の青春と比較して観ることができるから、なんかずるいと思ってしまう。詭弁だけど。
 吉田秋生原作の漫画を映画化したもので、原作読んだことないからこの映画だけで物申すと、描かれている女子高における女子高生がいい表現が見つからないくらいの絶妙さで、たまらない気持ちになった。残念ながら女子高に通ったことも女子高生になったこともないので、あくまでも想像だし、しかも小中学校時代の女たちの記憶の断片から総合している想像でしかないのだけれど、一つの部屋の中でいくつかのグループに分かれている様子、会話のリズムやトーンが目まぐるしくわがままに変わっていく様子、はにかみや緊張の表情、どれをとってもうなずけてしまう風景だった。もちろん監督その他が男で、私も男なわけで、男のみに共感できてしまうという恐れはあるのだけれど。
 多分ものすごく不出来なところはあるのだけれど、女子高生の気持ちの高ぶりに乗せられてしまって、そういう見方をできなかったし、するべきでないと思った。杉山(つみきみほ)がかっこよすぎる。あいつは男だ。あと城丸の彼氏に歯軋りするという気持ちを共有できる映画。

櫻の園 [DVD]

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