ガキ帝国

 あの井筒とか言うコテコテのおっさんは嫌いだけど、この映画はなかなかよかった。島田紳助演じるリュウ、松本竜介演じるチャボ、趙方豪演じるケンが主人公になっていて、一応体裁としてはリュウとチャボがメインになってるけども、井筒の気持ちは明らかに在日朝鮮人であるケンにあって、この映画において唯一群れることなく、ある種のヒーロー的に描かれている。今日までの井筒の歴史を鑑みると意味深。
 この映画は結構荒っぽくて、でもそれがいい。ヤクザたちも出てくるし、何人か死ぬし、学校はなめられてるし、在日朝鮮人たちは差別され続けるし、女たちは犯されるし、しかも何一つ解決されない。それがそのままに詰め込まれていて、でもやっていけてる、進んでいってるという恐ろしく煩雑で泥臭いダイナミズムがすごく大阪らしい。僕の中でのイメージだけど。
 とりあえず吉本芸人たち(特に上岡龍太郎)がみんな若くていい。北野誠はちょっと吹いた。あのマスター大杉漣のデビューかよ。観始めはシュート!(SMAPのやつね)みたいな種類の斜めからの面白さかと思っていたが、普通によかった。ただ、これは多分男じゃないと面白くないと思う。リュウにエロスのにおいがしないこととピンク映画に友達が出てくるっていう設定が男子高校生という感じ。もちろん好きなんだけど。

ガキ帝国 [DVD]

ガキ帝国 [DVD]