同志社ハーディホールで。フィルム上映がただなので。黒木和雄の遺作なのでもちろん戦争ものです。戦争ものなのでスクリーンに映し出されている画自体は明るくても、観ている側としてはその底にある黒くて重いものを感じつつ観るわけで疲れました。東京兄妹といい勝負なくらいぬるいテンポなんだけどね。
そのぬるいお陰で、この映画も観ながら考えてしまうのだ。その点、実によくできていて、戦闘シーンや人の命の費えるシーンのようなインパクトの強い映像はただのひとつも差し挟まないのに、ものすごく悲しい気分になるし、生きることの因果のようなものを感じさせられる。抑制された演出と演技、そしてストーリーであるからこそ、観客側が感情を自分の中で増幅させて悲しさや切なさを感じるという、何か演出のお手本のようなところもあった。けども、最初と最後に長くある、永瀬正敏と原田知世に60年後の現在の老人役をさせているシークエンスは演出がダメ過ぎるというか、ぜんぜん老人ではなくて吹きそうになった。こういう演出苦手なのだろうか?
あと、やっぱりただだとお年寄りが多くて、なんか笑いのセンスの違いに驚かされる。そのうちぬるい笑いで笑えるようになるんだろうか?いや、微笑ましいんですよ、小林薫と本上まなみと原田知世の会話。落語的なおかしさ。永瀬の演技も。
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