紅いコーリャン

 すごい。88年の映画だし、時代が違うのもあるんだろうけど、日本映画や欧米の映画とは土台が違うと言うか、こなれてないし、洗練されてない。というか、すごい力技な映画。赤を通して撮ったか、現像で赤くしたと思われる真っ赤っ赤な映像もだけど、個人的には圧倒的に広大で、人の背丈よりも高いコーリャン畑の映像がすごすぎて、これだけで勝ったみたいな気がする。風の又三郎の丈の高い草むらで迷子になるエピソードを思い出したけど、スケールが全然違う。赤い昼の映像も、青い夜の映像も、他の映画で観たらやり過ぎと思うようなレベルの代物なのだけど、寓話性も相まって、なんか許せてしまった。チャン・イーモウの映画は初めて観たけど、こんな感じなのかしら。
 お話は、若い娘がラマ一頭と引き換えに、ハンセン病の造り酒屋の主人の元に嫁ぐけども、、、というような田園風景のがさつだけど人情深いというような感じなのが、3分の2過ぎたあたりで、日本軍による中国人の虐殺が始まって、つい笑ってしまった。ということで、ステレオタイプに残虐な日本人を中国人が演じていても、拷問として日本人が生きた人間の皮をはぐ習慣があるみたいになっていても、我慢できる人が観る映画。我慢できない人は、ビデオやDVDを観始めて1時間くらいで止めてください。

紅いコーリャン [DVD]

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