都会のアリス

 フィリップは紀行文を書くためにアメリカを1ヶ月旅行していたが、書けないままに期限が切れてしまい、ニューヨークからドイツに帰国しようというところで、少女アリスと出会う。母親からアリスを預けられ、アムステルダム→ヴッパタール→…と移動しながらアリスの祖母を捜していくロードムービー
 結局、2人は自分たちで祖母を見つけることができないままに、ライン川を渡っている時に既に母親と祖母とを見つけ出した警察と会い、2人の旅は終わる。ロードムービーの空間的な移動ってのは、環境の変化が連続的に起こることに他ならないのだけど、それに作用されて登場人物が変わるということはなくて、人間が変わるためにはその人自身の力で変わるしかないのだけれど、場所・土地は触媒のように作用することはあって、人間の内面の変化を促進したり抑制したりすることはあるのだろうなと思いつつ、フィリップは変わったのだろうかと映画を思い返した。潤ったことは間違いないけどなあ。
 フィリップはポラロイドを携えていてよく風景写真を撮るのだけれど、この映画自体も風景写真のように風景をスクリーンに展開していて、それが味があるというか、なかなかよかった。その土地土地は寄る辺ない2人を拒絶するでもなく、暖かく迎え入れるでもなく、ただそこにあるだけなのだけど、なんかよかった。生活臭もしないし、1人の警官以外愛すべきキャラと出会うわけでもないのに何がよかったのか言い表せないけど。

都会のアリス [DVD]

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