ナイト・オン・ザ・プラネット

 ジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」。オムニバスなんて久しぶりだったが(前はコーヒー&シガレッツだったと記憶しているが)、さらっとした後味を楽しめた。
 個々の物語が、同時間に同様にタクシーの中で繰り広げられる会話によって成立しているが、別に5つの物語に得に何の関連性もあるわけではなくて、それはコーヒー&シガレッツと同様。ロス、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキそれぞれの色も出ているし、出てくる俳優人もそれぞれ印象深い。ウィノナ・ライダーとベアトリス・ダルとロベルト・ベニーニが特に印象に残ったけど、それ以外もみんないい味出してる。味としか言いようがないもの。まさに物語で、かたちや痕跡は残らないんだけど、なんかさざ波が残っているみたいな。嫌いじゃないけど、この映画との出会い方として、偶然に出会うともっと特別な映画になるかもしれない。
 まあ劇映画としてストレンジャー・ザン・パラダイスの方がずっと好きだけど。