マックス、モン・アムール

 大島渚の「マックス、モン・アムール」。この映画すげえ。
 妻がアパートを借りているということを外交官が知り、訪ねてみたら、裸の嫁と一緒にベッドにいたのはチンパンジーさんでしたという話なんだけど、この映画は全然ネタ一発で終わってなくて、その後の展開がすごく真面目にリアルということも好感が持てるし、このむちゃくちゃな設定を脚本でもって、散らかし放題な映画ではなくて、しっかりとまとまったお話にもっていっているのがすごい。しかも話の筋とインパクトがうまい形でメリハリになっていて、100分弱を短く感じた。
 上に書いたように、こんなむちゃくちゃな設定なので、要は観客が世界を認めるかどうかというのが、映画の評価のかなりの部分を占めると思うのだけど、旦那の狂い方とか、周りの引き方とか、息子のすんなりとした受け入れ方なんかは誰でもできそうなもんだけど、うやむやのうちに旦那もなんとなくその状況を受け入れてしまうというのが、文字で見ると嘘っぽいんだけど、たぶん実際こんなことが身の回りに起こったら、本当に起こるのはこのうやむやのうちに受け入れてしまうということなんだろうなという説得力があって、たまらなく好感を持った。
 全くもって獣姦モノに興味がない僕でもものすごく楽しめる、よくできたエンターテイメントだ。チンパンジーもなかなかよくできてるし。キャラとしてはチョイ役の娼婦が愛すべきだと思う。かなりキュートだ。

マックス、モン・アムール【字幕版】 [VHS]

マックス、モン・アムール【字幕版】 [VHS]