キアロスタミの「友だちのうちはどこ?」。オチ以外はのめり込んで観てしまった。
題名はこんなだけど、トリュフォーの「大人は判ってくれない」よりも大人が判ってくれない映画で、子供のころの無力さが思い出されて発狂しそうになった。この種の儒教にも似たような社会でもって、語る言葉も雄弁さも持たない子供って、こういう扱いだし、こうして世の中うまくいかないという不条理を知るというのが、ものすごく生な形で捉えられていて、観ていてとにかく悔しかった。子供時代や昭和がよかったとか言う人はこういうものを観ていいとこだけじゃなくて、悪いところも思い出した方がいいんじゃないか?
この映画に限らずキアロスタミはそうみたいなのだけど、ドキュメンタリーのような映像だから、劇映画を観るときの「リアル」だとか「うそ臭い」だとかの最初の直感的な留保がなくてそのまま観てしまって、子供がポシュテに向かうシークエンスで、BGMが流れて初めて劇映画だったことに気づくのだった。
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