華氏911

 今さら。
 もちろん、ここまで一義的に善悪を区別して、一貫して発されるマイケル・ムーア自身の意見にはさほど興味はないんだけど、ブッシュが再選されたことまで含めれば、何らかの示唆はいただけるでしょう。
 で、この映画の(僕はドキュメンタリーだとは思わない)肝は、メインストリームでない、つまり歴史としてピックアップされた際に、間違いなく漏れるであろうマイノリティーの物語を徹底して描くこと。人間が死ぬことは数で勘定されるものではないわけで、一人一人に物語があって、それが突然に終わらせられることなんだと思う。
 こういうカウンターカルチャー的なものを、商業的に消費してしまうところが、社会の閉塞感を象徴しているような気もする。ロジックにはまっているだけの気もするが。まあ、こんな押し付けがましいのつくっても、良心ないやつはなんともないし(もしくは興味なくて観ないし)、良心あるやつはあまりに単純な善悪二元論に違和感感じるから、ムーアちゃんの思うようには動かないですよね。