クストリッツァのアンダーグラウンド。なんだこのカオスは、このエネルギーは。
二次大戦下の旧ユーゴで武器商人をして荒稼ぎをするマルコとその親友クロ、そしてクロが愛するナタリアを中心として進む物語で、戦争が続いているとナチスからの避難民を20年間欺き続けて、地下で武器を造らせ続けるというのがメインの流れとしてあるのだけれど、戦争の悲惨さであるとか、マルコやナタリアの卑劣さを暴き立てるような論調ではなくて、そういうものだ的な、あくまでも傍観的な立場からつくられている映画で、それでもなお人間に絶望しているわけではないことが色濃く映画の空気に現れていて、このカオスっぷりに惚れずにはいられなかった。
斜に構えているわけではないんだけど、かなりアイロニックに、そして明るく描かれるストーリー。ちょっと考えれば圧倒的に悲惨な状況下なのだけど、そういう「おもしろくないこと」は間接的にしか描かれない。こういう表現というのも拒否反応を起こさせないという意味で、優れていると思う。クストリッツァってものすごく孤独な人なのではないかと思う。
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