ラブ&ポップ

 ラブ&ポップ。監督が庵野だったりする。ツタヤで100円で売ってたから、まあいいか的に買ってみた。
 撮影手法ありきってどうなんだろう。広角の画だけで成り立ちつつ、主人公目線やら主人公の右手目線やら鉄道模型目線やらテレビからの目線やらやりたい放題の実験中継で、さすがにこんな広角の画を観せられ続けると疲れるよ。なんだこりゃと最初から思ってたけど、主人公にカメラ持たせて理由付けして、庵野は満足したんだろうなという印象。自己満足ありきは観せられるとつらいわな。ラッパー慕情とかかなり下手くそなのにこれと比べたら全然ましに思えてしまうそれくらい観づらい。DVの性能も10年で上がっているのだろうけど。まあ、音楽も二重露光もモノローグもみんなアレなんで庵野が下手くそなだけだと思う。
 それを象徴するのが、主人公が朝起きて顔洗うシーンで、カメラを主人公目線にして、スクリーンの横から上腕から先が伸びてきていて、カメラのレンズに向かって水をバシャバシャやっちゃったりする。作り手の意思は明らかに、登場人物が顔を洗うという表現をこんな風にやれるなんてすごいでしょみたいなどうしようもないところにあって映画のしょっぱなからため息をつかせてくれる。ちなみに、「あーやっちゃった」と思わず声をあげたい人は、このシーンを観るためにこの映画を観る価値はあるかもしれん。たぶんそれ以外の価値はない。人間が見る世界を表現するために、目線の位置にカメラを持ってきてもさほどの意味がないことにもっと敏感になるべきだよね。あと、カメラの上を女子高生が跨げば俺らが喜ぶと思ったら大間違いですよ。
 まあ、例の10年前の女子高生の生態記録的なやつだけど、テレクラとかルーズソックスとか援助交際とかポケベルとか、なかなか懐かしい。でもそれだけ。これがどんだけリアルなのかとか男じゃわからんし、さほど興味もない。むしろ、金曜日の12時近い満員田都線の中で酔っ払ったタメの女二人が大声で赤裸々に語っている会話の方がだんぜん面白いし、胸キュン。まあ、そんなことがあればの話だけど。女の自分の市場価値への意識の高さはすごい。
 レビューなんかを見ると最後のあの素晴しい愛をもう一度をバックに4人が渋谷川を行進するってのが評判よさげだけど、この曲が某ラジオで徹底的にいじくられていたイメージが個人的に焼きついているので、むしろおもしろだった。
 若かりし日の仲間由紀恵がいてほほえましかった。にきびとか出てたりする。吹越満と手塚とおるのキモさは偉大。ということで意外に損した気分にはならない。河瀬直美とか鳥肌実とか声優の方々がどこに出演していたのか気づかなかったのは残念。

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