トウキョウソナタ

 黒沢清トウキョウソナタ。ある意味おもしろかった。
 恵比寿までわざわざ行って観てきた。もう混んでないかなと思って行ったら、あっさり満席。早めに行っておいてよかったと思った。なんとか映画祭やってるはずなのに、わざわざトウキョウソナタ観に来る人もいるんだなと黒沢清のビッグネームぶりに映画が始まる前から脱帽させられた。
 肝心の映画だけど、家族の崩壊を描いたみたいに新聞等に書かれているので、てっきりシリアスなお話かと思ったら、ギャグ映画だった。後になって思い返せば、オープニングの小泉今日子からギャグだったんだなとなるのだけど、淡々と描かれる家族それぞれの生活をみながら、違和感を感じまくっていた。父親のリストラ宣告とか、次男の教師との会話とかが、あまりにわざとらし過ぎて、イライラしながら観ていたのだけど(なんで津田寛治?とか、なんで、アンジャッシュ児嶋?と思いながら観ることになるのだけど、黒沢清のこしらえた一ネタだったことに後ほど気づいて納得させられた)、どこらへんかで映画のネタ度合いが明示されて、イライラが解消された。
 その後も随所にナンセンスな一ネタが挿し挟まれるのだけど、シリアスとくだらなさを同居させて、落差を味わわせるところはさすがで、他の観客も笑ったり真面目な空気を漂わせたり忙しそうだった。さらりとキョンキョンのアップを撮ってしまうところもさすがと思った。
 昼飯直後で眠かったのに、映画が始まったら終わりまで全く眠気がやってこなかった。ギャグ映画のくせに、妙にこころにわだかまりを残させる厄介な映画だった。
http://tokyosonata.com/