旅芸人の記録

 アンゲロプロス旅芸人の記録。DVD-BOXもらってまだ観てなかったのをやっと観ました。4時間の大作で、集中して観ましたとは言えません。そして、退屈しなかったとも、おもしろかったとも言えません。でも、抑制の効いた色彩と、感情と、音楽とが、アンゲロプロスらしい長回しでつながれた示唆に富む映画。とでも表現すれば妥当だろうか?
 私の問題だけど、ギリシャ人の顔の区別がつきづらいのと、ギリシャの戦中戦後史に詳しくないかつ、ギリシャ神話に詳しくないので、予備知識が足りなかった。何度も観る覚悟がないのであれば、映画のごく初期でちゃんと登場人物の顔と名前を一致させることに注意しておくことと、あらすじを読んでから観ることをおすすめする。wikipedia:旅芸人の記録にほぼ全てのあらすじが書かれている。
 「この作品は観客の方にすり寄ってくれるような作り方をしていない(やさしくない)ので、最近の商業映画の文法に慣れきった観客には苦痛だろう」と誰かがレビューしていたが、その通りだと思う。これは商業映画というより、世界そのものを再現しようとした作品であり、世界や現実は別にあなたの都合良いようにわかりやすくはないでしょうと、そういうことだと理解している。
 個人的にはエレクトラが捕虜の中にオレステスを見つけて、2人が見つめ合うシーンは圧倒された。