イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

 週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!でコトブキツカサが薦めてたので。面白かった。
 脅迫的に見たもの全てを記録してしまいたい衝動に憑き動かされるティエリさんが、あれよあれよという間にビッグアーティストとして君臨しましたというお話。オリジナリティも批評性もからっきし無いティエリさん(もちろん、少なくとも映画に描かれるうちにおいてという留保がつくのだけども)が、思いつきとコネクションでもって、特になんの準備もなく大々的な個展を催してみたら、超超大当たりしました。何千人動員しました。数百$で作品売れました。アートって何でしょな?ティエリさんは正真正銘のバカなので、全く悪気はありません。衝動の赴くままに行動したら、ビッグアーティストになったんです。
 途中から、ティエリさんに対する圧倒的な批判的立場から映画が構成されるようになるので、この個展失敗するんだろうなーと思って観ていたら、まさかの大成功というズッコケっぷりと、コネクションを提供したグラフィティアーティスト達の見下す表情と、Mister Brainwashことティエリさんの個展に訪れてMBWさんのありがたい作品群を絶賛する人々の白痴っぷりと、ティエリさんの天真爛漫っぷりとが、映画の後半たたみかけるように描かれ、圧倒されました。そして、他の人がレビューに書いているように、MBWさんのありがたい作品群を絶賛する白痴な人々とは、すなわち映画を観ている観客、私たちですよという気持ちよいアッパーカットを食らうのでした。

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ [DVD]

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