凍りの掌

 おざわゆきの凍りの掌。17歳にして戦争にとられ、そのままシベリア抑留された、その様を書いたもの。作者が父の経験を聞き出して、かたちにしたもの。

 戦争って、マクロ視点としてもちろん国家と国家が戦うわけだけど、ミクロに観ていけばもちろん人間が戦いを担う。そして、もちろん、その一人一人にドラマがあり、戦争という大文字の大義は、一人一人のドラマをわがままにも塗りつぶす。2分法で善悪を塗り分けることはできず、誰もが共犯で責任を担っており、誰もが被害者だ。

 このような一人一人のドラマを、できるだけそのままに描き出した物語と触れ合っていれば、戦争したいとは思わないと思うのだけど。大国たるお隣の国にも、こういう類の作品ってないのかな?

凍りの掌

凍りの掌