(500)日のサマー

 DVDで。恋にのめり込むタイプのトムと、運命なんて信じないサマーとの、500日におよぶラブストーリーではない物語。常にトムの1人称から描かれる。
 序盤から歯が浮くようなセリフと、観ていられないようなシーンの連続で、何度も一時停止ボタンを押して、心を整えてから再度観始めるような、そんな映画で、ズーイー・デシャネルの顔が好みでも止めてツッコミを入れずにはいられなかった。
 のですが、中盤から教養映画じみてきて、

  • 重要なこと⇔重要でないこと
  • 自分で変えられること⇔自分には変えられないこと

の2軸で描かれる4象限のマトリクスなんかを思い浮かべながら、最後まで観て、結果好みだなあと思わされる映画でした。
 トムは、サマーとの500日を通じて、価値観を変えさせられ、運命というのは与えられるものではなく、自分で切り拓くものだと学び、一方のサマーは、トムとの500日を通じて(もしくはこの期間の他の出来事によって)、運命というのも存在することを知る。矛盾しているようでいて、2人の運命の定義がずれているので、矛盾しない。
 ダスティン・ホフマン主演の卒業という映画があって、本作の下敷きになっているようだけど、観ようによっては卒業そのものであり、素直に観ると、卒業ではない映画でした。
 春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来る。そしてまた、春が来る。起承転結が描かれる、教養映画でした。
 久々にミュージカルが差し挟まれる映画観たかも。
 産毛濃いね。ズーイーさん。そしてクロエ・グレース・モレッツが出演してるよ!

(500)日のサマー [DVD]

(500)日のサマー [DVD]

ほんで
(500)日のサマー - 笑って進めに書かれているように、2010-12-26 - 空中キャンプ

「(500)日のサマー」でトムとサマーが「卒業」を見た後、号泣するサマーをトムが必死で慰めるシーン。彼のこと好きだけどもう駄目なんじゃないかなあというのを身につまされてるサマーと、「卒業」が好きなくせにそれにまったく気付かず「ただの映画じゃない」と見当外れの慰めを口にするトム。「どうしてそこでそんなこと言うの!」と思わたしは思ってしまったのですが、意外とサマー号泣の理由やトムの地雷踏みっぷりをわかってない男性が多くて、男と女はわかりあえないんだなーと目から鱗がぽろぽろ落ちる気分でした。この映画を見て「サマーわけわかんねえ!」と言う男性の隣でトムの踏んだ地雷を列挙したら、きっとその男性はぼろぼろに傷つくだろうなあ…。

を見て、あ、そういうこと!!と思いつつ、泣きそうになりました。
あとこれね↓

『(500)日のサマー』のエレベーターでの「スミス好きなの?」に尽きると思います! 私は個人的には、こういう男女の恋愛というのはうまくいくわけがないと考えているので、この出会いの高揚感とめんどくさいことになるぞーというふたりの始まりと終わりの予感にぞくぞくします。

私のスキルがよくわかりますね。