観劇

 小さな劇場で、友人の出演した舞台を観た。結論から言えば、おもしろくはなかった。会場は何度か笑いに包まれていたのは確かで、私の笑いのツボが違うのか、観客達が親切にも笑っているのか、それはわからない。(おそらく観客の大半は出演者の知り合いだろう)
 私は1年に1、2度しか舞台を観ないので、私が見慣れていないために感じる違和感なのかも知れないが、発声があまりにも「劇」的に過ぎると感じた。正直なところ、小劇場では普通+α程度に発声すれば、観客全員に声は届く。あの発声では、これは「劇」です。フィクションです。非「現実」です。と主張しすぎでは無いだろうか?
 また、劇ってそういうものでしょ、と言われれば返す言葉も無いが、対話でしかプロットを進めることができないというのは、脚本が弱すぎないだろうか?それではラジオドラマにアクションを添えただけではないか。人物やセットの動きや、情景の描写、そして「間」でプロットを進めることはできないだろうか?
 また、出演していた友人にアドバイスをするとしたら、まずは、観客を意識しないで演じられるようになるといいね、と。友人は観客と目が合うのを避けるために、観客がいるゾーンに目線を向けることがなかった。ある種、不自然な視線を送ることになっていた。キャリアの違う役者達は、観客がいるゾーンか否かを気にすることなく、演技として自然な目のやり方をしていた。
 何よりも、おそらく観客にこの劇のコピーを考えて下さいと言ったら、半分くらいが「笑いあり、涙あり」というフレーズを使いそうなプロットから脱皮することが必要だと感じた。この方向の舞台として比較したときに、今回のプロットでは、芸人達のコントの方が、クオリティが高いのではないだろうかと、そう思ったのでした。