フィアレス

 ピーター・ウィアー監督、ジェフ・ブリッジス主演のフィアレス。DVDで。
 背が高いので見通しの利かないトウモロコシ畑を歩くシークエンスから始まる。畑を抜けると、そこには胴がちぎれた旅客機が転がっており、彼らが不時着旅客機の乗客の生き残りであることがわかる。
 ジェフ・ブリッジス演じる主人公マックスは、そもそも飛行機嫌いの怖がりだったが、事故に巻き込まれるそのあまりのストレスで怖いもの無し(=フィアレス)となった。彼とその家族や、他の生き残りの物語。
 彼がフィアレスになったことは、アレルギーを持っているはずの苺を難なく食べられることで観客に提示され、事故の時のフラッシュバックの映像と共に、そもそもの心持ちとフィアレスの心持ちとの狭間で揺れ動くマックスの心理状態が全編にわたって描かれる。終盤で示されるマックスの描いた画は、精神に障害を抱えてしまった人間のそれであり、その画がスクリーンに映されたそれを見ただけの観客が不安にさせられる、そういう代物である。
 この映画のラストで、マックスが自分を取り戻し、イザベル・ロッセリーニ演じる妻と生を分かち合う美しいシーンが示される。このシーンも十分に印象的なのだけど、さらに印象深かったのは、心に孤独を抱えた生き残りの1人カーラと死んだ彼女の息子へのクリスマスプレゼントを買い、ショッピングモールでピアニストがエリーゼのためにを弾いているその前で、マックスとカーラが踊るシーン。

フィアレス~恐怖の向こう側~ [DVD]

フィアレス~恐怖の向こう側~ [DVD]