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永い言い訳

 西川美和の永い言い訳。西川美和ってこんなに巧みに書くんだったっけ。
 夏子とゆき、年に一度の女2人旅行。乗った夜行バスが事故に遭い2人とも亡くなってしまう。夏子とその夫津村との関係を、ゆきの家族をはじめ沢山の人間の言葉から多層的に描き出したような、そんな。
 一つの出来事が、ある意味複数人称から描かれることで、真実めいたものが立体的になる。翻って、自分がこの目で見て判断した事実なんて、体験した絶対のように錯覚しているものの、じつはわずか一面なんだということを改めて思い知らされ、反省いたしました。言葉にすることで、伝わることと失われることもよく描かれているように感じた。
 この小説は刺さる人と、刺さらない人がいそう。一応「永い言い訳」をしながら生きていく小説なのだけど、私は、言いようのない絶望感を持ちました。
 最後の言い訳は、長過ぎじゃないかしら。わざとだろうけど。

永い言い訳

永い言い訳