さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

 永田カビのさびしすぎてレズ風俗に行きましたレポkindleにて。
 世界と自分との関係性や距離がつかめなくなった作者が、その解放の象徴としてレズ風俗に行ったというルポ。という体だが、実際はその前段階たる自分や家族との関係性を分析して言語化・図示したという代物。
 作者は自分の本心がわかっていなかったこと(今は一部わかったということだろう)を悔やむ。自分に引き付けて考えれば、私はこの歳になっても自分の本心がわかっていないし、社会生活をまっとうに送っているつもりだけど、それは社会性の仮面をかぶって社会に生きているだけ。ある程度自覚はしているつもりだけども。
 作中、最も感動的な一節として、“予約まで”の章で「世界が広くなっていた」というセリフがあるのだけど、自分にとってもそういうことがあったなと振り返らされた(風俗ではない)。逃げ恥にて百合ちゃんが風見に「あなたが思っているより、ずーっと遠くまで行けるのよ」と言ったシーンを思い出した。(日産がスポンサーなのは目をつぶった)
 この作品という意味よりはもうちょっと広く、物語一般について、物語の力に素直に感動した。作者が作中先人の作品を引用し、それに救われる様子が描かれるのだけど、この作品も少なからぬ人を救うだろう。

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ