タイニー・ファニチャー

 レナ・ダナムの原点タイニー・ファニチャー。イメージ・フォーラムにて。
 大学で映画理論を修めたところで仕事が降ってくるわけじゃない。オーラは、売れっ子写真家の母と容姿端麗前途有望の妹が住まう実家兼仕事場に舞い戻る。鬱屈とした思いを抱きつつ、ビストロの受付を仕事にしてみたり辞めたり。幼なじみのエキセントリック芸術肌に振り回されたり、妹のホームパーティどんちゃん騒ぎにイライラしたり、支離滅裂に母と妹にキレて苦笑されてみたり。何者でもない若者の焦りと衝動ともろもろとが描かれる、そんな映画。
 冷静な言葉と視線を投げかけつつも、母の心は優しくオーラに寄り添う。最後の母娘のダイアログは感動的だし、この作品の全てであろう。見始めたら最後、途中でつまんねーなーと思っても、最後のダイアログまでは観ましょう。そこで取り返せるので。
 観る前に情報入れ過ぎなのは否めないのだけれど、母役、妹役が、実の母・妹で、しかも容姿が割と似ていないというのが小道具的に効いている。妹のすらっとした身のこなしは、姉との対比が鮮やかで、素晴らしい。
 ただし作品としては、まだエントリ書いてないけど、GIRLSの方が遥かにおすすめ。タイニー・ファニチャーとGIRLSを比較することで、プロデューサーがつく意味がよくわかった。遥かにウェルメイドで主題が研ぎ澄まされている。本作で才能を見出し、GIRLSとして結実させる仕事。
 まずはGIRLSを観るべし。ジェマイマ・カーク、アレックス・カルボウスキーも観られる。
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