幕が上がる

 平田オリザ原作、本広克行監督、幕が上がる。プライムビデオに来たので待ち構えて観た。演劇に対する本広克行の愛が詰まっていた。
 弱小高校演劇部に“学生演劇の女王”が接触することで、演劇部もそしてかつての女王も人生を変えられてしまう。そんな物語。
 冒頭記した通り、本広克行の演劇に対する思いがビンビンに伝わってくる。映画もあり、小説もあり、数多劇を見せる手段がある中でも、演劇って素晴らしいものだと思わされる。少なくとも本広克行はそう強く信じている。
 本作には「肖像画」という即興劇が出てくる。物語上、本来は、学生演劇の女王だった黒木華肖像画を演じたところが眩いほどの魅力でなくてはならないのだけど、残念ながらこのシークエンスは心に響かない。ただし、ももクロちゃん達演じる弱小高校演劇部員たちが演じる肖像画のシークエンス。これは素晴らしい。一気に惹き込まれた。
 同時に演劇に囚われた人間の業をも描き出す。演劇は魅力的であるがゆえに、蟻地獄のように人間の人生に取り付いてしまうようだ。
 黒木華は横顔が魅力的。
 平田オリザの演劇についての知識があるとさらにちょっと楽しい。セリフの意味が増す。想田和弘監督、演劇1演劇2も観てから観るとよろしい。

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演劇1・2 [DVD]

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