福原悠介の何もない部屋。ことばとvol.8にて。
選考座談会で評されていたように、ケチをつけられるところはいくらでもある。“三十そこら”の女性が描けていないように思えるし、作者の世界観が狭い?ようにも思える。というのも十歳の時の経験があるのならば、もっとうまくやれそう。また、雇われた手のライブのくだりから後、巧くない
ただ、福田さんがこの趣味を始めたきっかけのくだり、作者にとって、震災を客体化して描くのにこの小説が必要だったのかなと思った。ここが書きたかったのかな、と。2日に分けて読んだのだけど、1日目は読み進めながら何か白々しいような気持ちがあったが、2日目は生き残ってしまった作者の気持ちに思いを寄せてしまって胸が詰まってしまった。そういう意味では、いい読み手ではないな、私は。
無茶なことを言っていることは重々承知で、この小説を云々する権利がこの5人にあるのだろうかという思いに至ってしまった。そういう神聖な何かをこの小説に感じてしまった。
雇われた手↔何もない部屋