佐藤雅彦展の公式図録、作り方を作る。これは必読。
正直言えば、武勇伝であり、そう呼ばれることは免れ得ない本なのだけど、面白い。知的にも。時代を象徴するものを作ってきた人の個展であるので、昭和末期からの歴史であり、30云年前のキョンキョンを見ると目頭が熱くならざるを得ない。
これが必読である理由は、巻末の横浜美術館主席研究員の論考にある。展示を観て、佐藤雅彦の主体性や主張はよく展示されている一方、美術館の存在が全くもって感じられないことが不満だったのだけど、巻末の論考が展示の冒頭にステイトメントとしてあれば、納得であった。まあ、ただし、論考を読んでも、批評・キュレーション的なものは作者に圧倒されている印象ではある。佐藤自身がある程度十分に自己批評を含んでいるとも言えるのかもしれない。
