ギャラリー小柳にて束芋|そのあと。土曜日とはいえ、束芋って結構集客力あるんだなと思った。
たぶん束芋の作品をちゃんと観るのは初めてだと思う。クオリティはさすが。個人的には「夜と赤」が好きでした。解像度もよい。
下世話な話ですが、なかなかな値札になっていてOh...という気持ちにもなった。
www.art-it.asia
何もない部屋
福原悠介の何もない部屋。ことばとvol.8にて。
選考座談会で評されていたように、ケチをつけられるところはいくらでもある。“三十そこら”の女性が描けていないように思えるし、作者の世界観が狭い?ようにも思える。というのも十歳の時の経験があるのならば、もっとうまくやれそう。また、雇われた手のライブのくだりから後、巧くない
ただ、福田さんがこの趣味を始めたきっかけのくだり、作者にとって、震災を客体化して描くのにこの小説が必要だったのかなと思った。ここが書きたかったのかな、と。2日に分けて読んだのだけど、1日目は読み進めながら何か白々しいような気持ちがあったが、2日目は生き残ってしまった作者の気持ちに思いを寄せてしまって胸が詰まってしまった。そういう意味では、いい読み手ではないな、私は。
無茶なことを言っていることは重々承知で、この小説を云々する権利がこの5人にあるのだろうかという思いに至ってしまった。そういう神聖な何かをこの小説に感じてしまった。
雇われた手↔何もない部屋
中谷健一個展 驚異の部屋
京橋の弘誠堂ギャラリーで中谷健一個展。現物を観てみたくて行ってきたけども、まあ個人的には刺さらなかったかな。
www.facebook.com
ハニワと土偶の近代
東京国立近代美術館にてハニワと土偶の近代。東博に比べ批評的で良いとの評を見て行ってきた。
anond.hatelabo.jp
国民国家として仕上げていく過程で活用されてきた埴輪の歴史がよくわかった。私も年を取ってきてそういう気持ちがわかるようになってきた。何者でもない私のアイデンティティを補強してくれる、すがることのできる神話的なもの。
素朴な造形の素朴には可愛がれない歴史。
haniwadogu-kindai.jp
ショップで海洋堂の岡本太郎傑作選が1100円で売っていてつい買ってしまった。Amazonだと転売屋が(1/5の確率に左右されず中身がわかるとはいえ)倍以上の価格で売っているのね。太陽の塔と犬の植木鉢を引きました。こどもの樹も欲しかったな。
銃・病原菌・鉄
ジャレド・ダイアモンドの銃・病原菌・鉄。文庫で。
おおむね導入と結論はプロローグとエピローグがまさに対応していて、そこだけ読めば何が書いてあるか、よくわかる。学術論文そのものの構成になっている。なぜヨーロッパ人が世界を制したのか、その理由を探す旅。
epilogueより
人類の長い歴史が大陸ごとに異なるのは、それぞれの大陸 に居住した人びとが生まれつき異なっていたからではなく、それぞれの大陸ごとに環境 が異なっていたからである、と。
NHK、3ヶ月でマスターする世界史にもなかなか日本は登場してこなかったように、日本はメインとしては登場しないので触れられていなかった点として、以下が気になった。
開国の度合いが増して日本人人口が激減したという話は聞かないので、日本は昔から病原菌的な意味では開国していたということだろうか。
また、13章に下記の記述があり、
たとえば、半導体はアメリカで発明され、特許化されたのに、半導体製品の世界市場を牛耳っているのは日本である。これは、アメリカの対日本貿易赤字の一因ともなっている。どうしてこんなことになったのだろうか。
得も言われぬ気持ちになる。
カラオケ行こ!
ラストマイル観に行こうと思っていたのがめんどくさくなって、野木亜紀子脚本ということでNetflixにて。監督山下敦弘なのね。エンドロールで気づいた始末。
もちろん海に眠るダイヤモンドも欠かさず観ており、2024年時点で外せない作り手として野木亜紀子を認識していて、少なくとも近作は欠かさず目を通しているものの、作品によっては「正しさ」を満たしてはいるものの面白いと言い切れるかというとちょっと・・・というそういう位置づけで観ている。
本作については、(もちろん家庭環境を描写することでエクスキューズはなされるものの)ヤクザという2024年現在では完全に正しくないとされるものを描いているので、その点、野木亜紀子の近作の中ではズレた位置づけになると思う。原作もののいいところですね。面白く観た。そして突飛な設定をメインキャストの2人のチャーミングさも魅力を底上げしている。
思い返してみれば山下敦弘だからかというこってりしたギャグシーン含め、満足でした。
PHP2024年9月増刊号:孤独を癒やすヒント、楽しむコツ
荻上チキがらみで久しぶりにこんなにさらりと読める本を読んだ。こうやってさらりと読む本をスマホ以前にはよく読んでいたのだろうけど、しばらくこの感覚を忘れていて、思い出したという感じ。
まあ日経エレクトロニクスも似たようなものか。